海外出張の経費・カード管理|会社が決める5つのルール
公開日 2026-09-29
この記事のポイント
- 支払い手段・利用範囲・現金・精算・緊急時の5つをルールにしておく
- まずは法人カードを原則にし、持ち歩く現金の上限を決める
- 海外出張の旅費・日当は、消費税では原則として課税仕入れにならない
海外出張のお金の扱いは、経理だけの話ではありません。支払い手段と現金のルールがないと、出張者が多額の現金を持ち歩いたり、私物のカードで高額な立替をしたりして、盗難や不正利用のときの損失が大きくなります。
立場別に、先に読むところ
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1. 海外出張のお金で起きやすいこと
外務省の安全対策基礎データには、各国でカードや現金をねらう手口が書かれています。
| 起きること | 外務省の記載がある国(例) |
|---|---|
| ATMに読み取り装置や小型カメラを付けるスキミング | インドネシア、マレーシア |
| ホテルなどでのカードのスキミング | ブラジル |
| ATMの操作中に声をかけ、カードをすり替える・抜き取る | インド、イギリス |
| 路上の闇両替、偽札とのすり替え | 韓国、チェコ、インド、カンボジア |
手口としては、空港やショッピングモール等のATMにカードの情報を読み取る装置、小型カメラを設置して暗証番号を盗撮するケースがあります。
(5)両替 路上で外貨の両替を持ちかけられることがありますが、これは違法な闇両替ですので、一切応じないでください。
各国の手口は、国・地域別の治安・渡航情報の各国ページで、外務省の原文とあわせて確認できます。
2. 会社が決めておく5つのルール
| 領域 | 決めておくこと |
|---|---|
| 支払い手段 | 法人カード・個人の立替・仮払いのどれを原則にするか。法人カードを誰に貸与するか |
| 利用範囲 | カードで払ってよい費目(宿泊・交通・会食など)と上限。私的な利用をしないこと |
| 現金 | 持ち歩く現金の上限、両替する場所(銀行・空港など)、分けて持つこと |
| 精算 | 領収書の要件(もらえないときの代わりの手続き)、精算の期限、日当・仮払いとの関係 |
| 緊急時 | カードの紛失・不正利用のときの連絡先と手順、被害が出たときの負担の扱い |
まず決めるなら
法人カードを原則にして、持ち歩く現金の上限を決めることです。支払いがカードに寄るほど利用の記録が残って精算が速くなり、現金をなくすときの損失も小さくなります。
ルールは海外出張規程の「費用」に入れておくと、出張のたびに確認できます(海外出張規程の作り方)。
3. カードをなくした・不正に使われたとき
カード会社の緊急の窓口に連絡し、利用を止める
海外から通話できる番号を、カードとは別の場所(紙とスマートフォン)に控えておきます。
盗難なら、現地の警察に届け出て控えを受け取る
手順は海外で盗難に遭ったとき、最初にやることにあります。
会社の窓口に第一報を入れる
再発行・精算・被害の整理は、会社の指示で進めます。
帰国後、利用明細に身に覚えのない請求がないか確かめる
ここが大事
被害が出たときに会社と本人のどちらが負担するかは、事故が起きてから決めることにならないよう、規程で先に決めておきます。
4. 経理の扱い(所得税と消費税)
| 税 | 海外出張の旅費・宿泊費・日当の扱い | 詳しくは |
|---|---|---|
| 所得税 | 旅行に通常必要な範囲なら、支給を受けた社員に課税されない | 海外出張規程の作り方の §4 |
| 消費税 | 原則として課税仕入れにならない(国内出張とは扱いが違う) | 下の引用 |
国内の出張または転勤のために、役員または使用人に対して支給した出張旅費、宿泊費、日当等については、支給した金額のうちその旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れになります。
ただし、海外への出張または転勤のために支給した出張旅費、宿泊費、日当等は原則として課税仕入れになりません。
個別の経理処理は、税理士や所轄の税務署に確認してください。
5. よくある質問
両替は、どこでしてもよいですか
国によっては、路上での両替が違法とされています(§1 のチェコの引用)。偽札とすり替えられる例も、外務省の記載にあります(§1 の表)。銀行や空港などの窓口で両替することと、持ち歩く現金を上限までにすることを、ルールにしておきます。
法人カードと立替精算は、どちらがよいですか
出張が定期的にあるなら、法人カードのほうが利用の記録が残り、出張者の立替の負担もなくなります。ただし、誰に貸与するか・何に使ってよいかを同時に決めておかないと、管理が緩みます。
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ(インドネシア)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_002.html (2026-09-15 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ(チェコ)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_163.html (2026-09-15 取得)
- 国税庁 タックスアンサー No.6459「出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm (2026-09-29 取得)
各国の手口や税の取扱いは変わることがあります。個別の経理処理や負担の判断を示すものではありません。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
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