海外で飛行機が遅延・欠航したとき|台風のときの手順と必要書類
公開日 2026-10-06
この記事のポイント
- 遅延・欠航の証明書は空港を出る前に航空会社の窓口で受け取る
- 台風のときは自己判断で解約する前に航空会社の案内と約款を確認する
- 災害に巻き込まれたら安全確保のあとに家族と大使館・総領事館へ連絡する
海外で乗る便が遅延・欠航になったら、代替便の確保と、遅延・欠航の証明書の入手を同時に進めます。証明書と、自分で払った宿泊・食事・移動の領収書は、現地にいる間しか集められません。
立場別に、先に読むところ
使えるツールトラブル対処フロー
1. 発生直後にやること
自分の便の運航情報を見る
航空会社の公式アプリとウェブサイトで、便の状況と振替の案内を確認します。空港の窓口に並ぶ前に見ておきます。
代替便を確保する
カウンターかアプリで振替を申し込みます。乗り継ぎがあるときは、先の便の扱いも一緒に確認します。
遅延・欠航の証明書を、その場で受け取る
後日の発行に応じない会社があります。その場で受け取れないときは、対応した職員の氏名と時刻を控えます。
到着の予定が変わることを、迎えと宿泊先に伝える
会社の出張なら、社内の連絡の窓口にも同じ内容を伝えます。
ここが大事
宿泊や食事の案内が出るかどうかは、利用する会社と欠航の理由によって変わります(§4)。自分で手配した分は、領収書を1枚ずつ残します。あとから取り直せません。
荷物が出てこないときは別の手続きになります。トラブルごとの手順はトラブル対処フローで順に表示できます。
2. 渡航中にしか集められない書類
表の上から2つは、現地にいる間しか用意できません。
| 書類 | どこで受け取るか | 帰国後に用意できるか |
|---|---|---|
| 航空会社が発行する遅延・欠航の証明書 | 利用した航空会社のカウンター | できない |
| 追加で支払った宿泊・食事・移動の領収書 | 支払った先 | できない |
| 搭乗券・予約記録(Eチケットの控え) | 手元の書類 | できる |
- 証明書の名称と書式は会社によって違います。窓口が混雑しているときは、受付番号を控えて順番を待ちます
- 領収書は、宿泊・食事・空港までの移動を分けて残します。カードの明細だけでは何に払ったのかが残りません
- 予約記録は、予約確認のメールと予約サイトのマイページの両方を残します
申し込み後に送付されてくる予約確認メールは、キャンセル条件などの契約内容が明記された大切な情報です。記載内容をよく確認したうえで、旅行が終わるまで大切に保管しましょう。(中略)事業者に問い合わせを行った場合は、メールの送信日時がわかる形で問合せ内容を保管しておきましょう。
3. 台風・自然災害のとき
外務省は毎年、台風シーズンの注意喚起を広域情報として出しています。
日本海、北西太平洋及び南シナ海等に面する国・地域においては、例年6月から11月頃までが台風シーズンとなっています。台風の勢力や進路によっては、暴風、高潮、洪水、土砂崩れ等による人的・物的被害が発生し、場合によっては停電、断水、各種交通機関の混乱といった生活インフラへの障害が生じるなど、復旧に長い期間を要する可能性があります。
この広域情報が対象にしている国・地域には、韓国・台湾・フィリピン・ベトナム・タイ・グアムなどが含まれます。
出発前に見る順番
旅程と台風の進路の重なりを見る
出発地・乗り継ぎ地・目的地・帰国日の4か所で見ます。目的地が晴れていても、乗り継ぎ地が荒れれば先の便に間に合いません。
航空会社の案内を先に確認する
台風に合わせた取り扱いが発表されることがあります。発表の前に自分の判断で解約すると、通常の規定で扱われることがあります。
宿と現地手配の解約の条件を確認する
予約ごとに条件が違います(§4)。変更の連絡は、条件が変わる期限の前に入れます。
現地で災害に遭ったら
順番は、安全確保 → 情報収集 → 連絡です。
万一、災害に巻き込まれた場合は、現地当局が発表する警報・指示等に従って安全確保に努めるとともに、ご自身の安否等の状況について日本の留守家族及び最寄りの日本国大使館・総領事館・領事事務所または公益財団法人日本台湾交流協会(台北事務所・高雄事務所)等に連絡してください。
同じ広域情報は、台風の通過後も地盤の緩みに伴う土石流などの二次災害が起きる可能性があるとしています。運航が戻っても、空港までの道が通れないことがあります。
連絡の相手を先に決めておく
安否を伝える相手と、会社側で受ける担当者を出発前に決めておくと、現地で考えずに済みます。番号をまとめた1枚は緊急連絡カード・連絡フロー作成で作れます。
4. 予約した相手で、連絡先と決まりが変わる
| 買った先 | 最初の連絡先 |
|---|---|
| 航空会社 | 利用した航空会社 |
| 予約サイト | サイトの窓口(運営会社の所在を確認) |
| ツアー | 申し込んだ旅行会社 |
日本の航空会社の運送約款は、国土交通大臣の認可を受け、公開が義務づけられています。
本邦航空運送事業者は、運賃及び料金並びに運送約款について、営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示するとともに、国土交通省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
つまり、自分の便の取り扱いは、各社のサイトで読めます。窓口で言われた内容と約款の記載が食い違うときは、該当する条文を示して確認します。
予約サイトを通して買った場合は、運営会社がどこの事業者かで扱いが変わります。
サイト運営事業者が日本の事業者か海外の事業者かを確認しましょう。(中略)海外事業者の場合は旅行業法の適用がありません。(中略)サイトが日本語表示でも、必ずしも日本語で対応されるとは限りません。また、トラブルになった際、日本の法律等を用いた交渉が難しい場合があります。
海外の事業者とのやり取りで行き詰まったときの相談先は、国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)と、消費者ホットライン「188」です。どちらも同センターが案内しています。
EU を発着する便の決まり
EU には、遅延・欠航のときの航空会社の義務を定めた規則(EU261)があります。適用される範囲は次のとおりです。
EU air passenger rights apply: If your flight is within the EU and is operated either by an EU or a non-EU airline / If your flight arrives in the EU from outside the EU and is operated by an EU airline / If your flight departs from the EU to a non-EU country operated by an EU or a non-EU airline (...) If you were denied boarding, your flight was cancelled, you experienced a delay of more than 2 hours at departure or you arrive with a long delay at your final destination, the airline must give you a written notice setting out the rules for compensation and assistance.
EU 内の便、EU を出発する便、EU の航空会社が EU へ向かう便が対象で、アイスランド・ノルウェー・スイスの発着便も同じ扱いです。対象になる便では、2時間を超える出発の遅れや欠航のときに、航空会社が決まりを書いた書面を渡すことになっています。日本発着で日本の航空会社を使う便は対象外なので、確認するのは運送約款です。
5. よくある質問
台風で欠航しそうなとき、先に解約したほうがよいですか
発表を待つか先に動くかは、利用する会社の案内で変わります。台風に合わせた取り扱いが出れば手数料なしの振替や払い戻しが案内されることがあり、発表の前に自分の判断で解約すると通常の規定で扱われることがあります。どちらになるかは約款と各社の案内に書かれているので(§4)、解約の前に自分の便の条件を確認します。
自然災害による欠航かどうかは、どこで分かりますか
欠航の理由は、航空会社が運航情報で示します。気象の状況は、渡航先の気象機関と気象庁の台風情報で確認できます。EU261 が適用される便では、特別な事情(extraordinary circumstances)にあたるかどうかを示すのは航空会社の側だとされています。
延泊になった宿泊代は、誰が負担しますか
一律には決まっていません。利用した航空会社の運送約款と、ツアーなら申し込んだ旅行会社の約款の定めによります。約款は公開されているので(§4)、連絡を受けた時点で自分の便の条件を読みます。EU261 が適用される便では、航空会社が渡す書面に取り扱いが書かれています。
6. まとめ
| いつ | やること |
|---|---|
| その場で | 運航情報を見て振替を申し込み、遅延・欠航の証明書をその場で受け取る |
| 現地にいる間に | 追加で払った宿泊・食事・移動の領収書を分けて残す。予約確認のメールも保管する |
| 帰国後に | 証明書と領収書を保管し、約款の記載に沿って航空会社・予約サイト・旅行会社の窓口に連絡する |
台風シーズンに渡航するなら、出発前にできることは3つです。旅程と進路の重なりを4か所で見る、航空会社の通知を受け取れるようにする、安否を伝える相手を決めておく。渡航前の手順は海外渡航前の準備チェックリストにあります。
関連情報
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「広域情報:台風シーズンに際しての注意喚起(日本海、北太平洋、南シナ海等)」(2026年5月28日) https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2026C029.html (2026-10-05 取得)
- 国民生活センター「便利な旅行予約サイトでトラブルに!?トラブル防止のための旅行予約サイトのチェックポイント」(2025年3月18日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250318_1.html (2026-10-05 取得)
- 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百六条・第百七条 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 (2026-10-05 取得)
- European Commission「Your Europe — Air passenger rights」 https://europa.eu/youreurope/citizens/travel/passenger-rights/air/index_en.htm (2026-10-05 取得)
制度や各社の取り扱いは変わることがあります。渡航の前後には、外務省および利用する航空会社・旅行会社の最新の案内を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
株式会社キール(〒242-0006 神奈川県大和市南林間1丁目8番17号 レントールビル3階C号室)/ 引受保険会社:AIG損害保険株式会社