海外渡航前の準備チェックリスト|旅行・出張・赴任で何が変わるか
公開日 2026-09-18 / 最終更新日 2026-09-24
この記事のポイント
- パスポートの残存有効期間・査証・予防接種は出発2か月前までに確認する
- 滞在3か月未満はたびレジ、3か月以上は在留届に登録する
- 受診時の様式A・Bは日本で入手し、支払い手段は2種類以上用意する
渡航前の準備でつまずくのは、やることの数ではなく期限です。パスポートの残存有効期間、査証、予防接種は出発の2か月前に手をつけないと間に合わないことがあり、支払い手段や通信の手配は直前でも間に合います。
立場別に、先に読むところ
使えるツール海外出張・赴任 準備チェック診断
出発2か月前まで
取り返しがつかないもの
- パスポートの残存有効期間
- 査証(ビザ)の要否
- 予防接種
- 労災保険の適用関係(業務の渡航)
1か月前〜2週間前
登録と、会社の決めごと
- たびレジ/在留届
- 常用薬と英文の証明
- 旅費規程・社内連絡フロー
- 現地の治安の確認
1週間前〜前日
持ち物と連絡
- 海外療養費の様式(印刷)
- 支払い手段を2種類以上
- 緊急連絡先を紙とスマホに
- 日程を家族と共有
1. 出発2か月前までに確認する
この時期にやるのは、あとから取り返しがつかないものだけです。出国する人が多い時期に出発するなら、この「2か月前」がいつにあたるかを先に確かめます。
月別の出国日本人数(2025年)
- 1月 912,298人
- 2月 1,181,062人
- 3月 1,423,449人
- 4月 961,386人
- 5月 1,076,756人
- 6月 1,054,045人
- 7月 1,205,435人
- 8月 1,648,279人
- 9月 1,394,525人
- 10月 1,243,575人
- 11月 1,330,014人(推計値)
- 12月 1,300,700人(推計値)
出国が多いのは8月と3月。 この時期に出発するなら、下の「出発2か月前」は6月と1月にあたります。
出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数・出国日本人数」(2026年1月21日発表。出国日本人数は法務省の統計)(2026-09-24 取得)。日本政府観光局(JNTO)の発表資料をもとに当サイトが加工して作成。
パスポートと査証
- パスポートの残存有効期間 — 入国時に求められる残存期間は渡航先によって異なり、「有効期限内であれば足りる」とは限りません。更新が必要なら、この時点で申請します
- 査証(ビザ)の要否 — 滞在期間と渡航の目的で変わります。就労を伴う場合は、審査に時間がかかることがあります
予防接種
東南アジア・南アジア・中南米・中東・アフリカへ渡航する場合は、推奨される予防接種を早めに確認します。
渡航先や渡航の内容によって、推奨される予防接種は異なります。ワクチンによっては複数回の接種が必要で、所定の回数を終えるまでに一定の期間がかかります。渡航が決まったら、早めに医療機関に相談してください。
日程が固まる前でも、行き先が決まった時点で確認しておくのが確実です。
会社が関わる渡航の場合
業務での渡航では、この時期に会社側の確認が要ります。
- 労災保険の適用関係 — 海外出張に当たるのか海外派遣に当たるのかは、勤務の実態によって判断されます。制度の中身は海外出張と海外派遣で労災はどう違うかにあります
- 住民票の異動・社会保険・税務(赴任の場合) — 扱いが連動します。1年以上の滞在では転出届を出すのが一般的です
海外派遣に当たる場合
特別加入の手続きを事前に済ませていないと、給付の対象になりません。
2. 出発1か月前〜2週間前にやること
たびレジ・在留届の登録
滞在期間によって登録先が変わります。
| 滞在期間 | 登録するもの |
|---|---|
| 3か月未満 | たびレジ |
| 3か月以上 | 在留届 |
たびレジは、3か月未満の海外渡航者を対象とした外務省の登録制度です。登録すると、渡航先の安全に関する情報や、緊急時の連絡が登録したメールアドレスに届きます。3か月以上滞在する場合は、旅券法により在留届の提出が義務づけられています。
登録しておくと、現地で大きな事故や災害が起きたときに、大使館・総領事館からの連絡が届くようになります。同行する家族の分も登録しておくと、安否の確認が早くなります。
持病・常用薬がある場合
- 常用薬を滞在日数分用意します。国によっては持ち込みが制限される成分があり、手続きが必要になることがあります
- 英文の処方箋か薬剤証明を用意します
- 持病・アレルギー・常用薬を英文でまとめたメモを作っておくと、本人が説明できない状態でも医師に伝わります
会社の手続きと、現地の情報
| 項目 | やること | 補足 |
|---|---|---|
| 旅費規程 | 出張旅費規程で、医療費と搬送費用の扱いを確認する | 定めがない場合、その場の判断が前例になる |
| 社内連絡 | 緊急時の社内連絡フロー(窓口と時差の対応)を決める | 担当者が不在の時間帯に一報が入る前提で考える |
| 治安 | 初めて行く地域なら、治安の傾向と、立ち入りを避けたほうがよい地域を確認する | 国・地域別の治安・渡航情報 |
| 運転 | 予定があれば国際運転免許証を取得する | 有効な免許の種類は国によって異なる |
会社側の動き方は出張者が現地で入院したときの、会社の対応にあります。
3. 出発1週間前〜前日にやること
帰国後の手続きで使う書類
海外で受診したときに使う書類のうち、現地の医師・医療機関の記入と署名が必要なものがあります。用紙は日本で入手しておくのが確実です。
- 様式A(診療内容明細書)・様式B(領収明細書) — 加入している保険者のサイトから印刷して持参します
- パスポート・査証・航空券のコピー — 渡航期間が確認できる資料として使います。本人と家族の双方で持っておくと、紛失したときにも使えます
ここが大事
様式A・Bを帰国してから現地に依頼して取り直すのは、難しくなります。言語と時差と郵送が重なるためです。
この書類が何のために必要かは海外療養費の申請方法で扱っています。
お金・通信・連絡
- 現地通貨と、支払い手段を2種類以上用意します。カードが使えない場面と、紛失・盗難に遭った場面の両方を想定します
- クレジットカードの紛失・盗難時の連絡先を、カード本体とは別の場所に控えます
- 現地での通信手段を決めます(eSIM・ローミング・現地SIM)。緊急時に連絡が取れることが前提になります
- 緊急連絡先(大使館・警察・救急)を紙とスマートフォンの両方に控えます。国別の連絡先は国・地域別の治安・渡航情報にまとめています
- 日程・滞在先・連絡先を家族と共有します
- 単独の渡航や長期の滞在では、何時間連絡がつかなければどこへ連絡するかを先に決めておくと、家族が動きやすくなります
4. 旅行・出張・赴任で変わるところ
共通の準備に加えて、渡航の目的によって増えるものがあります。
| 目的 | 追加で必要になること |
|---|---|
| 旅行 | 日程と滞在先の共有。単独であれば、連絡が取れないときの取り決め |
| 出張 | 労災保険の適用関係の確認、出張旅費規程の確認、社内の緊急連絡フロー |
| 赴任 | (3か月以上)在留届、住民票の異動、社会保険・税務の手続き、帯同家族の滞在資格・学校・医療 |
子どもが同行する場合は、母子健康手帳と予防接種歴の英文の控えを用意しておきます。現地の学校の手続きで求められることがあります。
要否は渡航の条件によって変わります。渡航前の準備チェックに目的・期間・同行者・渡航先を入れると、自分に当てはまる項目だけが期限つきで表示されます。
5. まとめ
期限の早いものから順に片づけていくと、漏れにくくなります。
| いつ | やること |
|---|---|
| 出発2か月前 | パスポートの残存有効期間、査証、予防接種、労災保険の適用関係 |
| 1か月〜2週間前 | たびレジまたは在留届、常用薬と英文の証明、会社の手続き、現地の治安情報 |
| 1週間前〜前日 | 書類のコピーと様式、支払い手段、通信手段、緊急連絡先と日程の共有 |
関連情報
出典
- 外務省「パスポート(旅券)」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ (2026-09-18 取得)
- 外務省「たびレジ」 https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ (2026-09-18 取得)
- 厚生労働省検疫所 FORTH https://www.forth.go.jp/ (2026-09-18 取得)
- 全国健康保険協会「海外療養費」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/overseas_medical_expenses/index.html (2026-09-18 取得)
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数・出国日本人数」(2026年1月21日発表。出国日本人数は法務省の統計) https://www.jnto.go.jp/news/_files/20260121_1615.pdf (2026-09-24 取得。当サイトが加工して図を作成)
制度の内容や手続きは改定されることがあります。手続きの際は、各機関の最新の案内を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
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