家族が海外で入院・事故にあったと連絡が来たら|日本の家族がやること
公開日 2026-09-29
この記事のポイント
- まず連絡が本当かを確かめる。家族をねらって金銭をだまし取る手口がある(外務省)
- 本人と連絡が取れないときは、滞在先の大使館・総領事館か外務省に相談する
- 大使館・総領事館は家族との連絡を支援するが、医療費の支払いや立替えはしない
海外にいる家族が入院した、事故にあった、という連絡が来たら、まずその連絡が本当かを確かめます。本当なら、病院と担当者の連絡先を控え、家族の中で連絡の窓口を1人に決めます。日本国大使館・総領事館は家族との連絡を支えてくれますが、医療費の支払いや立替えはしません。
立場別に、先に読むところ
使えるツールトラブル対処フロー
1. 連絡を受けたら、最初に確かめること
誰からの連絡かを確かめ、本人か同行者に直接連絡する
本人・同行者・勤務先・学校・大使館などのどこからの連絡かを控えます。
お金を求められても、その場では払わない
「事故の示談金」などの名目で、家族から金銭をだまし取る手口があります(下の引用)。本人と連絡が取れないときは、次の §2 の窓口に相談します。
病院と担当者の情報を控える
下の表の項目を、分かる範囲で書き留めます。
家族の中で、連絡の窓口を1人に決める
病院・大使館・勤務先や学校からの連絡を、その人に集めます。
なお、海外へ渡航している邦人の家族等に対して、当該邦人が交通事故に遭遇したなどと作り話をして金銭を騙し取ろうとする犯罪手口(いわゆる「振り込め詐欺」)があります。犯罪組織は、当該邦人の日程等を事前に調べ、もっともらしい作り話をすることが多いので、安易に信用しないよう注意が必要です。
| 控えること | 例 |
|---|---|
| 本人の状態 | 意識があるか、話せるか、手術の予定 |
| 病院 | 病院名・住所・電話、担当医と担当者の名前 |
| 費用 | 支払いを求められているか、誰が立て替えているか |
| 本人の書類 | パスポートがあるか、帰りの航空券 |
| 日本の公的医療保険 | 協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険のどれか(帰国後の申請先になる) |
2. 本人と連絡が取れないときの相談先
外務省は、次のように案内しています。
| 状況 | 相談先 |
|---|---|
| 本人と連絡が取れず、事実を確かめたい | 滞在先を担当する日本国大使館・総領事館、または外務省 領事局 海外邦人安全支援室 |
| 災害やテロのあと、安否が分からない | 外務省 領事局 海外邦人緊急事態課、または近くの日本国大使館・総領事館 |
お孫さんと連絡が取れない場合には、お孫さんの滞在先を管轄する在外公館(日本国大使館又は総領事館)又は外務省領事局海外邦人安全支援室(電話:03-3580-3311 内線4965、2853)に御相談ください。
御子息の旅行日程、宿泊先、連絡手段の有無、旅券番号等お判りになる限りの情報をご用意の上、外務省領事局海外邦人緊急事態課(電話:03-3580-3311 内線5138、5139)、又はお近くの在外公館(日本国大使館又は総領事館)に御相談ください。
相談の前に手元にそろえるもの
旅行の日程、宿泊先、連絡手段、パスポート番号です。出発前に家族で共有しておくと、この場面で慌てずに済みます(§6)。
大使館・総領事館の電話番号は、国・地域別の治安・渡航情報の各国ページにあります。
3. 大使館・総領事館にできること・できないこと
外務省のパンフレット「大使館・総領事館にできること、できないこと」の「事件・事故、緊急入院」から、家族に関わるものを抜き出しました。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 本人が連絡できないとき、本人に代わって病状などを家族に連絡する | 病院との交渉 |
| 家族との連絡を支援する | 医療費・移送費の負担、支払い保証、立替え |
| 日本人がよく行く病院や、日本語の通じる医師などを紹介する | 犯罪の捜査、犯人の逮捕 |
| 現地で治療できないとき、緊急移送について助言・支援する | 相手側との賠償交渉 |
| 家族が現地に向かうとき、パスポートの優先発給を要請する |
ご家族の救援が必要な場合、日本にいるご家族ができるだけ早く現地に向かえるよう、必要な連絡や情報提供を行います。
4. 家族が現地へ行くとき
パスポートがなければ、大使館・総領事館か外務省に伝える
外務省が住所地のパスポートセンターに連絡し、優先発給を要請します(下の引用)。
行き先の入国に必要な手続きを確かめる
国によっては、出発前に電子渡航認証(ESTA・ETA など)が必要です(電子渡航認証 国別一覧)。
健康保険の海外療養費の様式A・Bを印刷して持っていく
現地の医師と病院に記入してもらう書類で、帰国してからでは頼みにくくなります(海外で入院したとき、本人と家族がやることの §2)。
本人の勤務先・学校と、誰が何をするかを分担する
ご家族がパスポートを持っていない場合、外務省が住所地の都道府県パスポートセンターへ連絡し、できるだけ早く現地へ出発できるよう、優先発給の要請を行います。
5. 医療費と、日本からの送金
現地の医療費は、本人(または家族・勤務先)が支払います。大使館・総領事館は支払いや立替えをしませんが、日本からの送金方法を案内してくれます(外務省のパンフレット「盗難・紛失」の項)。
- 帰国後、健康保険の海外療養費を申請できます。期限は、海外で支払った日の翌日から2年です
- 海外の医療費の水準は海外の医療費はなぜ高い?にまとめています
- 出張中の入院なら、勤務先の対応は出張者が現地で入院したときの、会社の対応にあります
6. 出発前に、家族で決めておくこと
旅行の日程・宿泊先・連絡手段・パスポート番号を共有する
§2 で外務省に相談するときに必要になる情報です。
たびレジに、家族のメールアドレスも追加登録してもらう
渡航先の安全情報が、日本の家族にも届きます。
本人に、緊急連絡カードを持たせる
現地の緊急番号・大使館と、日本の家族の連絡先を1枚にしたものです(緊急連絡カード・連絡フロー作成)。
何時間連絡が取れなかったら、どこに相談するかを決める
留学・修学旅行に子どもを送り出すときの準備は、保護者のチェックリストにまとめています。
7. よくある質問
本人が亡くなったと連絡を受けたら、どうすればよいですか
現地の法律による手続きが先に行われ、そのあとで日本への搬送ができるようになります。大使館・総領事館は、遺体の身元確認の手伝い、現地での火葬や日本への搬送についての助言・情報提供をしています。まず、連絡をくれた大使館・総領事館に相談してください。
御遺体の取扱いについては、まず現地関係当局の法的手続に委ねる必要があり、同手続が終了した時点で、日本への搬送が可能となります。
海外に住んでいる家族と、長く連絡が取れません
外務省は、3親等以内の親族からの依頼に限って、所在の調査を受け付けています(外務省「よくある質問集 その他」問6)。
関連情報
出典
- 外務省「よくある質問集 その他」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/toko/others.html (2026-09-29 取得)
- 外務省「大使館・総領事館にできること、できないこと」(2025年1月) https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pdf/dekiru-koto.pdf (2026-09-29 取得)
- 政府広報オンライン「出発前に登録を! 海外での安心を届ける“たびレジ”」(2025年12月15日) https://www.gov-online.go.jp/article/202512/radio-3335.html (2026-09-29 取得)
外務省の窓口と内線番号は変わることがあります。相談の前に、外務省のウェブサイトで最新の案内を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
株式会社キール(〒242-0006 神奈川県大和市南林間1丁目8番17号 レントールビル3階C号室)/ 引受保険会社:AIG損害保険株式会社