海外でパスポートをなくしたら|届出・再発行・帰国のための渡航書
公開日 2026-09-29
この記事のポイント
- 国境を越える前に、いまいる国の警察に届け出て控えを受け取り、日本国大使館・総領事館に連絡する
- 警察の証明書・紛失一般旅券等届出書・写真の3つは、現地にいる間しか用意できない
- 届け出たパスポートは、あとで見つかっても使えない。帰国は新しい旅券か、帰国のための渡航書で
海外でパスポートをなくしたら、国境を越える前に、いまいる国で手続きします。現地の警察と、日本国大使館・総領事館の2か所が窓口です。
立場別に、先に読むところ
使えるツールトラブル対処フロー
1. 発生直後にやること
心当たりのある場所を確認する
宿泊先のフロント、直前に立ち寄った店、交通機関の遺失物窓口。ここで見つかれば、以下の手続きは要りません。帰国便まで日数がないときは、探すのを切り上げて2と3へ。
なくした場所を管轄する現地の警察に届け出る
届出の控え(証明書)を受け取ります。
最寄りの日本国大使館・総領事館に連絡する
窓口の時間、必要な書類、写真の規格を確認します。
カードや携帯電話も一緒になくしたら、同じ日のうちに止める
ここが大事
警察に届け出た時点で、そのパスポートは使えなくなります(§5)。だから、まず心当たりを確認します。
パスポートを亡失した場合には、国境を越えることなく、滞在地において現地警察に届け出るとともに、最寄りの大使館、総領事館、領事事務所にてパスポートまたは帰国のための渡航書の発給手続きをしてください。なお、フランスは、日本の緊急旅券を有効な渡航文書として認めていませんので、ご留意ください。
シェンゲン領域のように国境の審査が原則ない地域でも、手続きはなくした国で行います。大使館・総領事館が発行する書類を受け入れるかどうかは、国によって違います。
警察・救急の番号と大使館・総領事館の連絡先は、国・地域別の治安・渡航情報にあります。
2. 「なくして」大使館・総領事館に行く人は、「盗られて」行く人より多い
2025年に大使館・総領事館が対応した件数では、遺失・拾得物のほうが、窃盗の被害より多くなっています(外務省「海外邦人援護統計」)。
大使館・総領事館が対応した件数(2025年・全世界)
- なくした遺失・拾得物2,290件
- 盗られた窃盗1,424件
「遺失・拾得物」はパスポートに限らず、なくした物・見つかった物に関して大使館・総領事館が対応した件数です。
なくして大使館・総領事館が対応した件数は、盗られて対応した件数より多くなっています。 地域別ではアジアが1,434件(63%)でした。
出典:「2025年 海外邦人援護統計」(外務省)(2026-09-24 取得)。外務省「2025年 海外邦人援護統計」をもとに当サイトが加工して作成。割合は当サイトが算出。
この数字はパスポートに限らない、遺失・拾得物全体の件数です。それでも、盗られない工夫と同じだけ、なくしたときに動ける準備が要ることが分かります。
3. 渡航中にしか用意できない書類
窓口で求められる書類のうち、表の上から3つは、現地にいる間しか用意できません。
| 書類 | どこで受け取るか | 帰国後に用意できるか |
|---|---|---|
| 警察が発行する証明書(届出の控え) | 届け出た現地の警察 | できない |
| 紛失一般旅券等届出書 | 日本国大使館・総領事館(窓口で記入) | できない |
| 写真 | 現地の写真店・証明写真機 | できない |
| 戸籍謄本など、日本国籍と身元が確認できる書類 | 日本の本籍地の市区町村 | できる |
| 帰国便の予約が分かるもの | 手元の書類 | できる |
- 紛失一般旅券等届出書は、なくした旅券を失効させる届です。窓口でその場で記入します
- 警察の証明書は、国によって名称と書式が違います。その場で受け取れないときは、受付番号と担当者の氏名を控えます
- 戸籍謄本と帰国便の予約は、日本にいる家族に頼んで送ってもらえます
必要な書類は国と状況で変わります。窓口に連絡したときに一覧を確認してください。トラブルごとの書類はトラブル対処フローでも調べられます。
4. 新しい旅券か、帰国のための渡航書か
| 項目 | 新しい旅券 | 帰国のための渡航書 |
|---|---|---|
| 書類 | 通常の旅券 | 日本へ帰るための書類 |
| 向く場面 | 旅程がまだ続く | 帰国を急ぐ |
| 注意 | 戸籍謄本などが要り、発給まで日数がかかる | 旅券の代わりに使える範囲が限られる |
実際にどちらになるかは、窓口と現地の事情によります。渡航書で帰るなら、経由地の扱いを先に確かめます。
日本国大使館や総領事館等が発行する「緊急旅券」及び「帰国のための渡航書」はIC旅券に該当しないため、「緊急旅券」による米国入国や「帰国のための渡航書」により第三国から米国を経由して日本に帰国する場合は、ESTAではなく米国の通過査証を取得する必要があります。
乗り継ぎがある人へ
乗り継ぎの国が渡航書での通過に別の手続きを求めていれば、経路そのものを変えることになります。その国の扱いを窓口で一緒に確認してください。
5. 帰国後の手続きと、届け出た旅券の扱い
渡航書で帰国したら、旅券の発給申請(再発行)をする
渡航書は帰国のための書類なので、次の渡航には使えません。
警察の証明書と届出の控えは、原本のまま保管する
いくつかの手続きで提示を求められることがあります。手元から離れる前に撮影しておきます。
運転免許証やマイナンバーカードもなくしていたら、再交付の手続きを確認する
住所地の警察署・市区町村の窓口です。
迷いやすいのが、なくした旅券があとから出てきたときです。
シェンゲン領域内において、パスポートを紛失(盗難を含む)した場合には、速やかにパスポートを紛失した場所(国)において、現地警察等へ届け出るとともに、最寄りの在外公館でパスポート(または帰国のための渡航書)の申請手続きを行ってください。なお、紛失(または盗難)として現地警察に届け出された日本国パスポートは、その後無事見つかったとしても使用できませんので十分注意してください(紛失届が受理された時点で、紛失・盗難パスポートとしてシェンゲン協定加盟国に通知されています)。
ここが大事
出てきた旅券は使わず、新しい旅券の発給を受けてください。届出を取り下げて使う、という流れにはなりません。
盗難と重なったときは、カードの手続きが加わります(海外で盗難に遭ったとき、最初にやること)。けがで受診したときは海外療養費の申請方法もご覧ください。
6. 18歳未満の場合(修学旅行・留学など)
手続きの流れは同じです。違うのは、申請書に保護者(法定代理人)の署名が要ることです。保護者が日本にいても、同意書で手続きを進められます。
申請人が18歳未満の場合は、法定代理人(親権者等)の署名が必要です。 法定代理人が国外または遠隔地にお住まいの場合は、同意書に法定代理人の署名が必要です。
同意書の様式は、外務省のサイトからダウンロードできます。
なお、未成年(18歳未満)の国外からの申請や、窓口での申請の場合でも上記よりダウンロードをしてご利用下さい。
日本にいる保護者がやること
現地の大使館・総領事館に、同意書の送り方を確認する
必要な書類と受け付ける形は窓口ごとに違います。本人か引率者を通じて確認します。
同意書に、保護者本人が署名する
戸籍に記載されている親権者(または後見人)本人の署名です。
戸籍謄本など、日本国籍を確認できる書類を用意して送る
§3 の表のとおり、日本で用意できる書類です。
在ロサンゼルス総領事館の案内では、両親が離婚している場合に、親権者を確認できる書類(離婚後の親権者が記載された戸籍謄本など)を追加で求めています。渡航書の交付は、同総領事館では帰国便の出発日の前日です。どちらも窓口によって扱いが違うので、連絡したときに確認してください。
修学旅行の引率と生徒
観光庁の「海外修学旅行マニュアル」は、出発前と被害に遭ったときについて、次のように示しています。
パスポート番号・発行年月日を控えておく。
盗難などの被害に遭った場合、くれぐれも犯人を追いかけるなどの行為は慎み、速やかに教員(引率者)に連絡するよう指導することが大切です。
生徒がなくしたときは
まず引率の先生に知らせます。警察への届出と大使館・総領事館への連絡(§1)は、引率者と一緒に進めます。保護者の署名が要るので、日本の保護者への連絡も同じ日のうちに行います。
7. まとめ
| いつ | やること |
|---|---|
| その場で | 心当たりを確認 → いまいる国の警察に届け出て控えを受け取る |
| 現地にいる間に | 警察の証明書・紛失一般旅券等届出書・写真を揃える。渡航書なら経由地を確認 |
| 帰国後に | 渡航書で帰ったら旅券を申請。証明書の原本は保管。出てきた旧旅券は使わない |
出発前にできる備えは3つです。旅券の写しを本人と家族の双方で持つ、旅券を置く場所を決めておく、大使館・総領事館の連絡先を控えておく。手順は海外渡航前の準備チェックリストにあります。
関連情報
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ(フランス)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_170.html (2026-09-15 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ(ドイツ)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_165.html (2026-09-15 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ(アメリカ本土)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_221.html (2026-09-15 取得)
- 「2025年 海外邦人援護統計」(外務省) https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/2025.pdf (2026-09-24 取得。当サイトが加工して図を作成)
- 在ロサンゼルス日本国総領事館「帰国のための渡航書(緊急に帰国しなければならない場合)」 https://www.la.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/m02_01_04.htm (2026-09-29 取得)
- 外務省「パスポート(旅券)発給申請の関連書類(未成年の旅券申請(届出)同意書)」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/page22_003984.html (2026-09-29 取得)
- 観光庁「海外修学旅行マニュアル」(2009年3月初版) https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/pdf/shugakuryoko_manual.pdf (2026-09-29 取得)
手続きや現地の運用、必要な書類は変わることがあります。渡航の前後には、外務省および渡航先の日本国大使館・総領事館の最新の案内を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
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