外務省の危険情報レベル1〜4の読み方|海外安全ホームページの使い方
公開日 2026-10-27
この記事のポイント
- レベルは危険の度合いの区分で事故の発生率の比較ではない
- 危険情報は国単位ではなく県や地域ごとに出ることがある
- 発出なしは渡航の危険がないという意味ではない
外務省の危険情報は、渡航先の治安情勢をレベル1から4の4段階で示したものです。レベルは危険の度合いを分かりやすく区分したもので、国どうしの事件・事故の起きやすさを数字で比べたものではありません。
立場別に、先に読むところ
使えるツール海外渡航リスクチェック
1. レベル1〜4が呼びかけていること
危険情報は、国・地域ごとの治安情勢を総合的に判断して出されます。レベルごとの呼びかけは、外務省が次のように示しています。
「レベル1:十分注意してください。」その国・地域への渡航,滞在に当たって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。
「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合には特別な注意を払うとともに,十分な安全対策をとってください。
「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」その国・地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。(場合によっては,現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります。)
「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」その国・地域に滞在している方は滞在地から,安全な国・地域へ退避してください。この状況では,当然のことながら,どのような目的であれ新たな渡航は止めてください。
4つの違いは、呼びかけの相手と、求められている行動にあります。
| 区分 | レベル | 呼びかけの中心 |
|---|---|---|
| 注意 | 1 | 渡航・滞在にあたって特別な注意を払う |
| 抑制 | 2 | 不要不急の渡航をやめる |
| 中止 | 3 | 目的を問わず渡航をやめる |
| 退避 | 4 | 滞在している人は安全な国・地域へ移る |
レベル3でも、現地にいる人へ退避の準備を促す内容が含まれることがあります。レベルの番号だけでは、何を求められているかが分かりません。
2. レベルは「危険の度合いの区分」で、国どうしの比較ではない
レベル2の国はレベル1の国より事件が多い、という読み方はできません。外務省は、レベル別の分類の位置づけをこう説明しています。
危険情報において各国・地域をレベル別に分類しているのは,危険の度合いを概念的にわかりやすく区分するための工夫であり,必ずしもある国・地域における事件や事故の発生の頻度が別の国・地域より高いといった統計的な比較に基づくものではありません。
同じページでは、その理由として、想定すべき危険の類型が政情不安・暴動・内戦・テロ・一般犯罪・自然災害と多岐にわたり、危険の度合いも様々であるため、国・地域ごとの単純な比較ができないことが挙げられています。
誰に向けて書かれているか
危険情報は、情勢や安全対策の専門家ではない一般的な日本人の個人渡航者を想定して構成されています。会社が人を送るときの判断は、これと同じ前提には立ちません(§5)。
3. 危険情報は国単位ではなく、地域ごとに出る
同じ国の中でレベルが分かれることがあります。タイには、2026-10-06 時点でレベル2とレベル3が同時に出ています。
【危険レベル】
●カンボジアとの国境付近(シーサケート県、スリン県、ブリラム県、ウボンラチャタニ県サケーオ県、チャンタブリ県、トラート県のカンボジア国境から30km以内)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)《継続》
●ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県及びソンクラー県の一部(ジャナ郡、テーパー郡及びサバヨーイ郡)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)《継続》
●ソンクラー県(ジャナ郡、テーパー郡及びサバヨーイ郡を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。《継続》
この場合、国全体がレベル3なのではありません。対象は国境付近や特定の県で、行き先がその地域に当たるかどうかで読み方が変わります。複数のレベルが同時に出ている国は、同じ時点でインド・トルコ・フィリピン・メキシコなどにもあります。
当サイトの国別ページは、外務省が出しているレベルと発出日をそのまま示しています。自前で格付けし直すことはしません。行き先が対象の地域に入るかどうかは、外務省の本文と地図で確認してください。渡航先を並べて見るときは海外渡航リスクチェック、国ごとの内容は国・地域別の治安・渡航情報から確認できます。
4. 「発出なし」の意味と、発出日の見方
危険情報が出ていない国も多くあります。これは「危険がない」という意味ではありません。
危険情報を出している国への渡航に当たっては当然十分な安全対策が必要ですが,危険情報が発出されていない国や地域についても,危険情報が発出されている国・地域と比べれば比較的安全と評価されてはいるものの,その国・地域への渡航の危険がないことを意味するものではありません。
突発的な事件・事故やテロの脅威、自然災害については、危険情報とは別にスポット情報・広域情報が出ます。3つの違いと届き方はたびレジに登録すると何が届くのかで整理しています。
危険情報には発出日が付いています。中国では、2024年9月25日に出された危険情報(レベル1)が、2026-10-06 時点でそのまま続いています。
発出日が古いときの読み方
発出日は、その危険情報が最後に出された日です。日付が数年前でも情報が放置されているわけではなく、そのレベルがいまも出ていることを示します。内容が改められたときは、「一部地域の危険レベル引下げ」のような見出しとともに、新しい発出日で出されます。
5. レベルだけで決めず、本文と関連情報を読む
外務省は、レベルよりも本文を読むよう求めています。
重要なのは、4つの目安そのものよりむしろ本文です。
是非本文の最後までじっくりと読んでいただき、実際の渡航・滞在にあたっての参考として下さい。
併せて参照する情報も、同じページで挙げられています。
| 情報 | 分かること |
|---|---|
| 危険情報の本文 | レベルの対象になっている地域と、その理由 |
| 安全対策基礎データ | 治安の傾向、防犯上の注意、医療事情 |
| テロ・誘拐情勢 | 過去の事案と現在の情勢 |
| 感染症危険情報 | 感染症についての4段階の呼びかけ |
会社として出張や派遣の可否を決めるときは、レベルを社内の手続き(誰の承認が要るか、どの段階から見送るか)と結びつけておく方法があります。条項の例は海外出張規程の作り方にあります。
レベルが引き上げられたときの、申し込んでいる旅行の扱いについても説明があります。
旅行会社は,外務省が発出する危険情報やそのレベル・内容にかかわらず,自己の責任において企画旅行の実施を判断しています。
しかしながら,外務省は,前述のとおり国民の安全(生命・身体への影響)を判断基準として危険情報を出しているものであり,キャンセル料の問題を始め旅行契約に関する事項はあくまでも,旅行会社と顧客との間で解決すべき問題ですので,この点はご理解頂きたいと思います。
レベルが上がっても、申し込んでいる旅程が自動で中止になるわけではありません。実施するかどうかは旅行会社の判断で、費用の扱いは契約の当事者どうしの話になります。
6. まとめ
| 読むところ | 要点 |
|---|---|
| レベル | 4段階の呼びかけ。国どうしの比較ではない |
| 範囲 | 国単位ではなく地域ごと。行き先が対象かを確かめる |
| 発出なし | 危険がないという意味ではない |
| 発出日 | 古い日付でも、そのレベルがいまも出ている |
| 本文 | レベルより本文。関連情報と併せて読む |
出発前に確認するなら、行き先のレベルを見て終わりにせず、対象の地域と本文まで目を通します。公的な情報の読み方として説明できるのはここまでです。会社の渡航の形に合わせた整理が必要な場合は、個別にご相談ください。
関連情報
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「「危険情報」とは?」 https://www.anzen.mofa.go.jp/masters/risk.html (2026-10-26 取得)
- 外務省 海外安全情報オープンデータ「タイの危険情報」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2026T076.html (2026-10-06 取得。当サイトが抜粋した)
- 外務省 海外安全情報オープンデータ「中華人民共和国(中国)の危険情報」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2024T086.html (2026-10-06 取得)
危険情報のレベルと発出日は、情勢に応じて変わります。渡航の前後には、外務省 海外安全ホームページで行き先の最新の内容を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
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