海外出張の持ち物リスト|1週間・1か月・3か月で変わるもの
公開日 2026-09-23
この記事のポイント
- 期間に関係なく、現地で手に入らない書類とその控えを揃える
- 1週間は日本から持ち込み、1か月は現地で買えないものだけ持つ
- 3か月以上は在留届。海外派遣に当たるなら労災保険の特別加入を事前に
海外出張の持ち物は、行き先よりも滞在期間で変わります。1週間なら日本から持ち込めば足り、1か月を超えると「現地で買えないものだけ持つ」考え方に切り替わり、3か月に近づくと持ち物よりも届出と会社側の手続きが増えます。
立場別に、先に読むところ
使えるツール海外出張・赴任 準備チェック診断
〜7日
日本から持ち込んで完結させる
増えるもの
旅費規程と社内連絡フローの確認
8〜30日
現地で買えないものだけ持つ
増えるもの
常用薬の全期間分、英文の証明、予防接種の確認
1〜3か月
荷物より書類
増えるもの
在留届(3か月以上)、労災保険の扱いの確認
期間に関係なく持つもの
書類とコピー / 受診したときに使う用紙 / お金と通信
1. 期間に関係なく持つもの
期間が変わっても要るのは、現地で手に入らない書類とその控えです。荷物の量ではなく、これが揃っているかどうかで、現地で困る度合いが変わります。
書類とコピー
- パスポート・査証・航空券のコピー — 本人と、日本にいる家族の双方で持ちます。紛失したときの手続きと、帰国後の手続きの両方で使います
- 緊急連絡先(大使館・総領事館・警察・救急) — 紙とスマートフォンの両方に控えます。国別の連絡先は国・地域別の治安・渡航情報にあります
- 日程・滞在先・現地の連絡先 — 社内の窓口と家族に共有します
受診したときに使う用紙
海外で受診したときの公的な手続きでは、現地の医師・医療機関の記入と署名が必要な用紙があります。帰国してから現地に依頼して取り直すのは、言語と時差と郵送が重なって難しくなります。
- 様式A(診療内容明細書)・様式B(領収明細書) — 加入している保険者のサイトから印刷して持参します
海外療養費の支給申請には、診療内容明細書(様式A)と領収明細書(様式B)が必要です。これらは現地で治療を受けた医療機関に記入してもらう書類です。あわせて、領収書の原本と、日本語の翻訳文の添付が求められます。
用紙の位置づけと、帰国後の手続きの流れは海外療養費の申請方法で扱っています。
受診したら、その場で受け取るもの
診断書(傷病名・治療内容・日付が分かるもの)と領収書の原本(明細つき)は、その場でしか手に入りません。原本を渡す前に撮影しておくと、手元に記録が残ります。
お金と通信
- 支払い手段を2種類以上用意します。カードが使えない場面と、紛失・盗難に遭った場面の両方を想定します
- カードの紛失・盗難時の連絡先を、カード本体とは別の場所に控えます
- 現地での通信手段(eSIM・ローミング・現地SIM)を出発前に決めます。緊急時に連絡が取れることが前提になります
2. 1週間の出張(〜7日)
持ち込みで完結させられる期間です。現地調達を計画に入れず、日本から持っていく前提で組みます。
- 衣類は日数分。洗濯を前提にしない代わりに、荷物は機内持ち込みで収まる範囲に収めます
- 常用薬は日数分と、数日分の予備。移動が延びたときに切れないようにします
- 変換プラグと電源(会議が続く日程では、モバイルバッテリーの持ち込み条件も確認します)
- 現地通貨は少額で足ります。到着後の移動と当日の食事に使う分だけを見ます
会社が関わる渡航では
この期間でも、次の2つを出発前に確認しておきます。短い出張でも、事故が起きたときの手順は同じだからです。
- 出張旅費規程 — 医療費と搬送費用の扱いがどうなっているか
- 緊急時の社内連絡フロー — 窓口と時差の対応。会社側の動き方は出張者が現地で入院したときの、会社の対応にあります
3. 1か月の出張(8〜30日)
持ち込みでは足りなくなり、現地で買えるものは現地で買うという考え方に切り替わります。持っていくのは、現地で同じものが手に入らないものだけです。
- 常用薬は滞在日数分を用意します。同じ成分の薬が現地で手に入るとは限りません
- 国によっては持ち込みに手続きが必要な成分があります。英文の処方箋か薬剤証明をあわせて用意します
- 持病・アレルギー・常用薬を英文でまとめたメモを持ちます。本人が説明できない状態でも医師に伝わります
- 眼鏡・コンタクトレンズは予備を1つ。度数の分かる控えも一緒に持ちます
- 衣類は洗濯を前提に減らし、その分を書類と薬に回します
- 日本国内の支払い・郵便の扱いを決めておきます(口座振替への切り替え、転送の手配)
渡航先によっては、この期間から予防接種の確認が要ります。
渡航先や渡航の内容によって、推奨される予防接種は異なります。ワクチンによっては複数回の接種が必要で、所定の回数を終えるまでに一定の期間がかかります。渡航が決まったら、早めに医療機関に相談してください。
接種が間に合わない時期に渡航が決まることもあります。その場合も、何が推奨されていて何を受けていないかを把握しておくと、現地で体調を崩したときに医師へ伝えられます。
4. 3か月に近づくと、持ち物より手続きが増える
3か月は制度上の区切りです。持ち物の中身はほとんど変わりませんが、やっておく届出が変わります。
| 滞在期間 | 登録するもの |
|---|---|
| 3か月未満 | たびレジ |
| 3か月以上 | 在留届 |
たびレジは、3か月未満の海外渡航者を対象とした外務省の登録制度です。登録すると、渡航先の安全に関する情報や、緊急時の連絡が登録したメールアドレスに届きます。3か月以上滞在する場合は、旅券法により在留届の提出が義務づけられています。
会社側では、この時期に次の確認が入ります。
- 労災保険の扱い — 海外出張に当たるのか海外派遣に当たるのかは、滞在の長さだけでは決まらず、勤務の実態によって判断されます。制度の中身は海外出張と海外派遣で労災はどう違うかにあります
- 住民票の異動(転出届)と、社会保険・税務の扱い — 滞在が1年以上になる見込みであれば、連動します。持ち物の準備より先に、会社の担当部署と確認しておく範囲です
海外派遣に当たる場合
特別加入の手続きを事前に済ませていないと、給付の対象になりません。
5. まとめ
期間ごとに、考え方だけを取り出すと次のようになります。
| 滞在期間 | 持ち物の考え方 | 増えるもの |
|---|---|---|
| 〜7日 | 日本から持ち込んで完結させる | 旅費規程と社内連絡フローの確認 |
| 8〜30日 | 現地で買えないものだけ持つ | 常用薬の全期間分、英文の証明、予防接種の確認 |
| 1〜3か月 | 上に同じ。荷物より書類 | 在留届(3か月以上)、労災保険の扱いの確認 |
期間が変わっても、現地でしか手に入らない書類を確保しておくという軸は変わりません。荷物を増やすより、そこを先に固めておくほうが、現地で困る場面は減ります。
渡航前の準備チェックに滞在期間・同行者・渡航先を入れると、自分に当てはまる項目だけが期限つきで出ます。
関連情報
出典
- 全国健康保険協会「海外療養費」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/overseas_medical_expenses/index.html (2026-09-15 取得)
- 外務省「たびレジ」 https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ (2026-09-18 取得)
- 厚生労働省検疫所 FORTH https://www.forth.go.jp/ (2026-09-18 取得)
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(海外派遣者用)」 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-7.html (2026-09-15 取得)
制度の内容や手続きは改定されることがあります。手続きの際は、各機関の最新の案内を確認してください。
監修:真下 恭徳(リスクコンサルタント/株式会社キール)
株式会社キールにて、法人のリスク管理と損害保険の実務に従事。事故対応と保険金請求の実務経験をもとに、海外で起きるトラブルへの備えを整理しています。
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